世界を飾る色彩をあえて剥がし、黒と白、そして無数のグレーで写真を撮ることに、なぜこれほど魅了されるのか。引き算をすることで露わとなる世界の表情に、フェティシズムのような微かな揺らぎを覚えているのかもしれない。 真っ暗な路地裏で粒のように光るガラスの破片。寝室のドアの隙間からこぼれる一筋の光線。光に触れられてはじめて、その存在が確かに現れる。黒いキャンバスの上に白いクレヨンで絵を生み出すようなイメージ。光で描く。その原初的な感覚を、理論的にも感情的にも、この視覚的世界の在り方をシンプルに思い出させてくれるのが、モノクロ写真ではないだろうか。 思い返せば、GRで初めて撮った一枚はモノクロだった。というのも、モノクロでかっこ良くストリートスナップを撮りたくてカメラを探していた折に、たどり着いた答えがGRだったからである。 Photo&text Tomas H. Hara

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